光抱く友よ/高樹のぶ子(1983年下半期受賞)


優等生の主人公と不良少女の友情を描いた女子高生たちの青春ドラマ。主人公の父親は大学教授で裕福な家庭ですが、不良少女のほうはあばら家でアル中の母親と2人暮らしというとても漫画チックな設定です。

1980年代の作品ということもあり、不良少女のほうは長いスカートでパーマをかけてるスケ番のビジュアルを思い浮かべてしまい、なんだかずっと半笑いで読んでしまいましたが、物語としては硬派でまじめな話でした。

不良少女のほうはアル中の母親とケンカばかりしていて、とても殺伐とした家庭なのですが、実は母と子の絆は固く、罵倒されながらも献身的に母親を支えます。

高校生とは思えないほどしっかりしていて、タフな精神の持ち主の不良少女。その対極にある温室育ちの主人公となぜか気が合い、自宅を行き来するような交流が生まれますが、あまりにも住む世界が違い、やがて離れていきます。ラストシーンはビルマに水島上等兵を残してくるようなやり切れなさがあり、グッときました。

しかし、やはり気になるのは登場人物のステレオタイプ感。一見不良だけど実はいいヤツなんてのは、かなりベタな設定ですし、きっと高樹のぶ子氏は優等生のほうで、不良少女のほうはこうだったらいいなあという願望も入っているのだと想像されます。

よい作品だとは思うのですが、もう一歩理屈では説明できないような曖昧さやリアリティが欲しいなあという気がしました。

↓アマゾンでは賞賛のレビューが多数。結構名作っぽい評価です。
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